作業療法士のいーなです。
自分の親や周りの人が認知症となった時、どんな対応をしていいか知っていますか?
・同じことを何度もいうし、「さっきも聞いたよ!」と言ってしまうことがある
・毎日一緒に生活していると、対応が雑になってしまう
そんな悩みを抱えてしまう人がいるでしょう。
でも家族さんの対応次第で認知症を悪化させてしまうかもしれないんです。
今回はこの記事で、認知症を悪化させない、家族でもできる正しい対応を勉強していきましょう。

Contents
認知症の人への対応を間違えると症状が悪化するって本当?
認知症というのは、主な症状として「記憶障害」が挙げられます。名前や物の名前を忘れてしまうことです。
これはみなさん、よくご存知ですよね。
また認知症に付いてくる記憶障害以外の症状を「周辺症状」といいます。
この周辺症状というのは、意味なく家の中や外をウロウロ歩きまわる「徘徊」、
家族に対して攻撃的になることや、その場とあっていない不適切な対応といったことが挙げられます。
この周辺症状に対して、対応が悪い(=家族の理解がない)と、認知症が悪化することが考えられます。
では、どんな対応が良くないのでしょうか?
否定する言動や嫌な記憶が残りやすく、不安な気持ちを強める
一言で言うと、「否定的な言動」が良くない対応です。
認知症は記憶力が低下するの症状ですが、「感情の記憶」は残ります。
そのため、
「この人と喋っていたら、嫌な気持ちになるな」
「この男の人はいつも嬉しいことを言ってくれるな」
という記憶は残ります。
ただ、何をしてくれたかということは記憶に残りません。
否定的な言動をし続けると、認知症の方は不安な気持ちを強めてしまい、先ほど挙げた周辺症状が強く出てしまう悪循環に陥ってしまいます。
認知症でも「人生の先輩」です。尊厳のある対応をしていこう
だいたい認知症の方は、自分より年上の人です。人生の先輩になります。
そして、長生きをしてきたからこそ、いろんな形の「プライド」をお持ちです。
そのプライドは、認知症の人の個性なのです。
できれば、そのプライドを傷つけないよう、人生の先輩ということを忘れずにコミュニケーションを取ることが正しい対応になるでしょう。
わたしも認知症の方と関わるときは、「同等の立場」ではなく、「人生の先輩」だと思って接しています。そうすると、向こうの対応も変わってきますよ!
実際にどう接したらいいの?正しい対応のヒント!
①大前提!否定をせず、話を傾聴してあげよう
認知症の方が、何かしようとすることには、「何か意味がある」のです。
例えば、何度も時間を聞いてくる方がいれば、「何かの時間を気にしている」と考えてみてください。
ご飯の時間が待ち遠しいかもしれません。あるいは、誰かの帰りを待っているのかもしれません。
その行動の意味がわかったら、時計を置いてあげて「この時間になったらご飯だよ」「この時間になったら、○○が帰ってくるよ」と伝えてあげるといいですね。
話をしてきたら、傾聴するという姿勢を試してみてください。
②アイコンタクトやスキンシップが効果的
話を傾聴すること以外に、「アイコンタクト」をしたり、「手で身体に触れてみる」ことも心がけてみましょう。
アイコンタクトをすることで、認知症の方には「優しさ」「信頼」「平等」というポジティブなメッセージを送ることができます。
必ず話すときは、アイコンタクトをとってみましょう。
またスキンシップ=触れることもしてみましょう。
ゆっくりと、手のひら全体で、優しく触れます。この触れる感覚が優しいと、相手にも触られることが心地よいと伝わります。
強い力で掴んでしまうと、ネガティブなメッセージを送ってしまうので注意してくださいね。
なので、オムツや着替えをするときや立つときに手伝うときなども優しく触れてあげることを心がけてみてください!
③「みる」「話す」「触れる」を使って、「あなたの味方、あなたのことを大切に思っている」ことを伝える
「みる」「話す」「触れる」ことを使って、自分はあなたに害を与える存在ではないんですよ、ということを伝えましょう。
私たちでも、目を合わせたり、ポジティブな言葉をかけたり、優しく触れられたりしたら、とても心地よい、嬉しいと感じますよね。
認知症の人も、同じです。むしろ、記憶低下が起こり、不安になりやすい人が他の人からそういう対応をしてもらったら、とても安心することができます。
安心させてあげることで、周辺症状がかなり落ち着いてくれる認知症の人もたくさんいる!
④ポジティブな感情を実感させる体験をしてあげよう
先ほど、「感情の記憶」は残りやすいとお伝えしました。否定的な感情は残りやすいということを伝えましたが、もちろん肯定的な感情も残りやすいですよ!
日頃、コミュニケーションを取るときに相手が楽しい、嬉しいという体験をさせてあげることで、家族は「私(認知症の人)の味方」という立ち位置になれます。
そういう体験をすることで、何か困ったことがあれば、家族に頼りやすくなれます。
看護師さんや介護士さんも、こんな工夫を積み重ねて、患者さんや利用者さんと距離を図ることをしていますよ!
もちろん作業療法士などのリハビリの職種も、認知症の人への対応は勉強しています!
正しい対応の考え方はフランスの「ユマニチュード」という手技がヒントとなる!
上で話した内容の一部は、「ユマニチュード」という認知症の人のためのケア方法の一部を参考にさせてもらっています。
「ユマニチュード」とは、知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションに基づいたケア技法です。
フランス語で「人間らしさ」を意味する「ユマニチュード」には、「人間らしさを取り戻す」ということも含まれています。
この方法は、認知症の人の心を掴み、笑顔にしてしまう「奇跡」と言われるまでになっているケア方法です。
私も実際にこの方法をすることで、かなり不安な気持ちになっている認知症の方と笑顔で接することが増えました。
もし興味があれば、動画もぜひ参考にしてくださいね!
それでも対応がしんどい場合は、ケアマネージャーや利用しているサービスの介護士さんに相談していきましょう。
介護はとても大変なことです。必ず一人では抱え込まないようにしましょう。
まとめ
家族でもできる認知症を持っている人への正しい対応を読んで頂きありがとうございます。
改めて、自分の対応が悪くなかったのか、考えることができたら、とても嬉しいです。
私も作業療法士として働き始めた時は、認知症の人と関わる時に、怒らせてしまったことがたくさんあります。
その時は、「人生の先輩」として関わっていなかったとてもダメな作業療法士でした。
そんな私でも、このユマニチュードのことを知ってからは、怒らせることはなくなりましたよ!
ぜひ明日からでも実践して見てくださいね!
